ずっとそう思っていた。
22〜23歳から広告の畑に入り、なんとか仕事にも慣れた20代後半。
雑誌広告を中心としたタイトでドライな案件をメインに担当していたせいか、
いっちょまえにテクニックは身につけ、クオリティの高い仕事に自信は持ててはいたが、
その反面「感謝の声」が聞こえないドライな進行に、いつもヤサグレていた。
いわゆる「やっつけ」の仕事が多かったと思うし、ナメてもいた。
仕事も人も人生も全て・・・。
なにより生意気だった・・・。
年上だろうが先輩だろうが関係ねぇ。メチャクチャにしてやるよ。
そんなことばかり考えていた気がする。
今思えば、目指すべき背中が大きく、遠すぎていたのだと思う。
椎名誠さんやデザイナーの梅原真さんの世界観や生き方に憧れる一方、
(お、どちらも『まこと』だ。Mの衝撃w)
システマチックに入稿を重ねる乾いた日々。
「憧れ」と「どうにもならない現実」の間のグレーゾーンを埋めるべく
虚勢を張っていたのかもしれない。
そんなキャラ構成を自己防衛的に行っていたのかもしれない。
デザインなんて大嫌い。
ずっとそう思っていた。
あれから、あれよあれよと時は流れ、付き合う人も変わり、
新たな御縁をいただき、今に至る。
相変わらず、広告の企画や制作の仕事をしているけれども、
成長したとかしないとか、そういうのはよくわからないけれども、
確実に「変化」を感じている。
何が変わったというのだろうか・・・。
一番確かに言える事は「ありがとうの声」が聞こえる仕事をさせていただけてるということ。
「ありがとうの声」を裏切らないよう、20代の頃より、
ひとつの案件に対して真剣に向き合うようになったし、
なにより全てが愛おしい。
デザインなんて大嫌い。
そう思ってばかりいたあの頃の自分とやっとサヨナラできた、ということなのだろうか。
そして今日も愛しの時間を積み重ねていく。
「ありがとうの声」に押され励まされ、憧れの背中に辿り着けるように。
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